白内障手術では濁った白内障を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを埋め込みます。ただしこのレンズはどこか一箇所にしかピントが合いませんので、遠くも近くもすべてはっきり見えるわけではありません。遠くがよく見えるレンズと近くがよく見えるレンズとでは度数が異なるのです。そこで手術の前に「どこにピントを合わせたいのか？」を御自分で決めていただく必要があります。
遠くに合わせたほうが良い場合
・車の運転をすることが多い
・ゴルフやゲートボールが趣味である
・眼鏡無しで歩き回りたい
・本を読んだり書類を書いたりすることがほとんどない
・特に趣味はないがテレビを見るのが楽しみだ
近くに合わせたほうが良い場合
・若い頃から近視が強く、これまでから眼鏡を外して手元を見ていた
・椅子に座って読み書きやパソコンの仕事が多い
・編み物やミシンなど手先の仕事が好きである
なお眼科でいう遠く近くの区別の目安は次のとおりです。
遠く：足元、テレビ、運転
近く：新聞、携帯、パソコン
もし遠くに合わせたレンズを入れた場合には、テレビを見たり運転するのはほとんど眼鏡がいらなくなりますが、手元を見る場合には老眼鏡が必要になります。
逆に遠くに合わせた場合には老眼鏡は必要ありませんが、歩いたりテレビを見たりするには眼鏡が必要になります。
せっかく手術が無事に終わっても御自分のライフスタイルに合ってない度数のレンズだと手術後の満足感も半減してしまいます。遠くにするか近くにするか、あなたまかせではなく御自分でじっくり考えて決めていただくようお願い致します。
ただしどちらの場合にしても、緑内障や眼底出血など目の奥に病気が隠れていた場合には思ったほどよく見えない場合がありますのでご了承下さい。