手術の時期は?

白内障は年齢と共に必ず発症する病気です。だからといって白内障の患者さんすべてが手術を受けなければならないということはありません。手術の適切な時期は「手術が必要なほど見えにくくて困る」と自分で思い始めたときです。

では当院で白内障の患者さんと毎日のように交わされる会話の実例をいくつかご覧下さい。

まず最初の出だしは同じです。
「先生、私の白内障はどの程度ですか?手術する時期が来たら言って下さい」
「白内障の程度と手術の時期はあまり関係ありませんよ。
大事なことは、あなた自身が今の見え方に困っておられるかどうか?なんです」

例 その1

「確かに困ってはいますが、手術するほどは困ってません。眼鏡掛けたらまだ新聞見えますし」
「ではこのまま様子見ましょうか」

 

例 その2
「隣の○○さんが最近手術されてよく見えるようになったと喜んでおられるのを聞いて手術したいな~と思い始めています」
「わかりました。ではあなたご自身ではどういう場面で見えにくくて困りますか?」
「そう言われると特に困る場面はありませんが・・・」
「ではもう一度本当に手術が必要なのかどうかをじっくりお家で考えてみても遅くないですよ」

例 その3
「この一年で三回くらい眼鏡を作ったんですがどれを掛けてもよく見えず苦痛です」
「確かに持って来られた眼鏡を掛けていただいても視力はほとんど同じですね」
「なんとか早く手術で見えるようにして下さい」
「わかりました。では手術の申込みとしましょう」

例 その4
「来月に車の免許の更新なんですが、今の視力では通りそうにありません」
「確かにそうですね。車の免許はこれからも必要ですか?」
「車無しでは生活できません。なんとか期日に間に合うように手術して下さい」
「わかりました。では手術の申込みとしましょう」

いかがでしょうか?
最初にも書いたとおり、「今の見え方で御自分がどれだけ困っておられるか?」が唯一の決め手になります。白内障の程度、視力、年齢などはほとんど関係ありません。白内障の程度が強くても、現在の見え方に特にご不満がなければ手術の必要はありません。逆に程度が軽くても生活に支障があるのなら手術の適応となります。
患者さんの考え方や職業は人それぞれです。じっくりと考えて手術の時期を決めて下さい。

ただし、急激に進行する特殊なタイプの白内障では、すぐに手術が必要なことがあります。じっくり経過観察できるタイプか急激に進行するタイプかは診察しないとわかりませんので、手術しない場合であっても定期的に診察が必要です。