日本国民全員が見たであろう市川海老蔵の記者会見。見た目も痛々しい赤い左眼に見入ってしまう。報道ではほとんどが「赤く充血」と書いている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101207/crm1012072016041-n1.htm
医学的に見ればこれは充血ではなく出血である。専門的には「球結膜下出血」というもので充血とは全く違う。
充血: 炎症を起こした血管が太くなるので赤く見える
出血: 血管が切れる
ほんわか赤いのが充血、はっきりくっきり境界鮮明なのが出血である。
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20101209-OHT1T00015.htm
「左眼球打撲による結膜出血のため、充血していた左目の状態はこの日も変わらず、痛々しさを感じさせた。」
中には充血と出血をまったく理解していない文章もありちょっと笑ってしまう・・・
今回のように殴られたり打撲した場合はもちろんのこと、何もしなくても突発的に出血することは珍しくない。夜間の救急にも「急に目が真っ赤に充血して心配だ」という電話がよくかかってくるが、まずこの出血にまちがいない。毎日4-5人はこの出血が心配でやって来られるが、外傷によるものでなければ別に気にすることはない病気である。見た目は派手なのでとても痛そうに見えるが、本人はまったく痛くないし見えにくくもない。何もしなくても10日ほどで次第に吸収されてなくなってしまうので「10日間、鏡を見ないで下さい」といつも説明している(笑)
ちなみに海老蔵では左側半分だけの出血であったが360度出血するとこのような状態になる。本人さんはいたく不安に思っておられるし、それ以上に家族の方が心配で飛んでこられた。でもこれも理屈は全く同じで少しゴロゴロ感じるくらいでまったく問題ない。出血量が多いぶんだけ吸収するのに時間が掛かるが2週間もすれば治ってしまうのである。
ところでこういった有名人が病気になって下さると、同じ病気の患者さんに対する説明がしやすくなることが多いのでありがたい(^^;)
たとえば、
1981年 石原裕次郎の解離性大動脈瘤
1996年 村田英雄の壊疽で下腿切断
2000年 美智子様のレーザーによる緑内障治療
などが思い出される。古い例えで申し訳ないが(^^;)