なでしこ決勝の戦評と澤選手のシュート

今朝は朝も早よからテレビ観戦。
スウェーデン戦を見る限り、王者アメリカとも結構やれるのではないか?と甘い期待を抱いていたのだが試合が始まるとまったく実力差があることに愕然とした。
日本はもともとパス回しがバルサのように速くて正確!という前評判だったのにうまくパスが回るのは守備陣の間の横方向のパスだけだ。ボランチの澤から前線へ送ろうとしてもすぐ複数の選手に囲まれてしまって苦し紛れのパスになるし、たとえフリーでもらってもことごとくインターセプトされてしまいまったく勝ち目が無かった。まさに日本がしたかった戦術をさらにうまくパワーアップしてアメリカが行っていたのだからどうしようもない。

そうこうしてるうちにアメリカの先取点が決まり、私はこのまま3-0くらいで負けるのではないかと思ってみていた(^^;)アメリカ自身もそう思っていたはずで、ワントップのワンバック(^^;)の強烈なシュートがバーに当たっても、「どうせすぐ点取れるわー」と余裕をかましていたはずである。

この王者のプライドが日本には幸いして、アメリカが1-0で守備を固めて逃げ切ろうという方針を採らなかったため日本にもカウンターを仕掛けるチャンスが回ってきた。そのワンチャンスを決めて延長に持ち込んだのは素晴らしい!

さてさすがの日本も延長では足が止まってきて、左サイドからクロスを上げられた際にはマークがついて行けなかったし、中央でどっしり構えて待っていたワントップのワンバック(ひつこい(^^;)にドンピシャで合わされてしまった。このとき、日本の守備陣はボールウオッチャーになって全く動いていないワンバックをフリーにさせてしまった。

ところが終了間際に御存知の通り澤選手の神がかり的なシュートが決まる。試合中もニュースも何度もこのシーンを流してくれるのだが、悲しいかな背後からの画しかなくてどう蹴ったのか伝わってこず隔靴掻痒の感があった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

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夜のNHKのニュースを見てると、なんとまさにそのシュートシーンを捉えたスチル写真を流してくれた。これを見ると右足のアウトサイドというよりもややつまさき寄りのところでほんの少し引っ掛けて蹴ったように思われる。

アウトサイドで蹴る場合、普通は足首をひねって下へ伸ばす(地面に向かって小指側を下げ、足首を伸ばす)蹴るのに対し、この写真ではインサイドキックやトーキックののようにむしろ足首を曲げて固定してるように見える。

たとえば上記の画像はアウトサイドで蹴った写真だが、小指側が地面に向かって下がりそれに伴って足の裏が完全に内側を向いているのがよくわかる。このとき足首が動かないようにインステップキックほどではないにしろ足首を伸ばしている。
澤選手のシュートは足首の返しがまったく逆方向(親指側が下、足の裏は外側)なので、蹴る意識としては面に当てると言うよりも、硬い靴底の側面だけで軽く擦って軌道を変えようとしたのではないかと推測する。しかしこんな狭い面積の部分だけでコントロールするなんて練習でも本当に成功したんだろうか?(^^;)

別角度からの動画を発見!

これを見ると澤選手のシュートがワンバックの右手付近に当たってかなり角度が変化したのがわかる。ただこれで澤選手のシュートの価値がいささかも揺るぐものではない!

そして精神的にずたずたになってしまったアメリカにもはやPK戦で集中力を高めることが出来なかったのであろう。特に効いたのが、日本GKが片足でセーブした場面と、日本の宮間がガンバの遠藤のようなコロコロPKを決めた場面だ。これでもうアメリカは立ち上がれないだろうとわかった。

アメリカを破って世界一になったことは素晴らしい。小さい日本娘が大きい男のようなアメリカ選手と互角に戦ってるのだから見ていて本当に感動した。クルム伊達とセリーナウイリアムスの試合みたいだ(^^;) 今日は素直に喜びたい。だがしかしである。喜んで居られる皆さんには申し訳ないが、内容的にはほぼ負けと言っていいと思う。極論すればいろんなラッキーが重なって日本がPK戦で勝っただけである。アメリカの選手も内心では負けたと思ってないに違いない。次回激突したときには、なでしこジャパンの王者としての試合運びを見てみたいと思う。